安心安全な療養生活を過ごすための医療施設
介護療養型医療施設では、充実した医療や介護、リハビリテーションなどのサービスを提供しています。急性期治療を経て症状は安定したものの、長期的な療養生活を必要とされる高齢者が入所する施設です。医療施設なので、医師や看護師の常駐が義務付けられています。病院や診療所の中に設置されていることが多く、介護施設というより、入院施設というイメージの方が強いかも知れません。
入所対象となるのは、原則として要介護1以上かつ65歳以上の高齢者。その中でも、比較的要介護度が高めの方が優先的に入所できるケースが多いようです。ただし、「伝染病や急性期疾患などの治療の必要がない」といった施設ごとの基準がある場合もあるため、入所の際は注意しなければなりません。
介護療養型医療施設の最大の特徴は、あらゆる介護施設の中で最も手厚い医療ケアを提供していること。入所者6名に対し1名以上の常勤看護師が設置されるなど、多めの人員配置で高齢者をバックアップしています。「たん吸引」「経管栄養」「胃ろう」といった医療処置が必要な高齢者も、万全の医療体制のもと安心安全な療養生活を過ごすことができます。そのほか、医師や介護スタッフ、栄養士、作業療法士などが常駐。医師の管理のもと、献身的な介護ケアやリハビリテーション、認知症ケア、ターミナルケアなどを受けることができます。
また、入所費用を抑えられる点も、介護療養型医療施設の魅力。入所一時金は不要で、月額費用は世帯収入などによって差がありますが、住宅費や食費、光熱費などを合わせておおむね15万円前後。さらに費用の負担軽減措置により、年金生活などで所得が少ない場合、住居費や食費を減免してもらうこともできます。
医療施設なので、サービスはどうしても医療ケアに重きが置かれます。そのためレクリエーションや各種イベントなどはあまり行われておらず、精神的な充実を求める方には適していないかもしれません。病院や診療所に設置されることが多いため、居室は基本的に多床室になります。トイレや浴室なども共用設備を利用することになるので、プライベートな時間や空間を確保しにくいといったデメリットがあります。少しでもプライベート空間を確保できるよう、ユニット型個室を導入している施設もあるようです。
なお、介護療養型医療施設は2012年から新設が認められておらず、減少し続けています。その上医療依存度が高めの方やターミナルケアが必要な方が入所されているケースが多く、退所までのサイクルが長い傾向にあります。そのため待機人数や待機期間が多く、なかなか入所できないといったデメリットもあります。